2016年のブラジルの食肉の輸出量はアルゼンチンの5倍の量であった。しかし、その7年前、2009年には僅かに2倍の開きしかなかったのである。なぜそこまで開きが出たのか? ブラジルにとって強みは中国が<年間16万5000トンを輸入している>ということである。(参照:
「iProfesional」)
そして、今回の不正発覚で中国はブラジル産食肉の輸入を停止しているのだ。
今回のブラジルの不正食肉問題は、ブラジルを前にして失った市場を奪回する良い機会だとアルゼンチンの輸出業者は見ているのである。
しかし、食肉の輸出の飛躍を期待するアルゼンチンにとって留意せねばらないのは、同じメルコスルの加盟国であるパラグアイとウルグアイもアルゼンチンと同規模の食肉の輸出量を持っている国だということだ。特に、ウルグアイはアルゼンチンの直接のライバルで、タバレ・バスケス大統領は一昨年11月に日本を訪問して食肉の日本市場への輸出拡大の取り決めも行っている。一方のアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領は今年訪日を予定している。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。