ZARAにデザインを「盗作」されたデザイナーたち、結束して被害を主張

ZARAの「盗作被害」にあったデザイナーたちのサイト「shoparttheft」

 ファスト・ファッション(Fast Fashon)とは、衣料品の分野で最新の流行を素早く取り入れ、量産体制を導入して安価な価格で提供し、中間業者を通さず消費者に直接販売するシステムである。その王者に君臨しているのが「ZARA」を旗艦ブランドとしているスペインのガリシア地方で誕生したインディテックス(INDITEX)である。  イブ・サンローランの傍に長く仕え、彼を支え続けたピエール・ベルジェがZARAの急成長を見て、「ファスト・ファッションに創作は必要ない。あるものを真似て、安く提供するだけで良い。あとはマーケティングの力だけである」と語った。  ファスト・ファッションを存続させ、発展させるためには既存のものを如何に真似るかということに依存するようになる。その真似るのに、小規模で活躍しているデザイナーの作品や、まだ無名のデザイナーの作品をZARAが盗用しているということがこの3~4年問題にされている。  最近、注目を集めたのは米国ロサンゼルスで活躍しているインディー系デザイナーのチューズデイ・バッセン(Thuesday Bassen)の作品を盗用していたことが発覚したことだ。彼女はインスタグラムを通して、<「昨年、ZARAは私の作品を盗用し続けていた」>と指摘し、弁護士が同ブランドと損害賠償の交渉をしていることを公にしたのであった。 Tuesday BassenInstagram それに対して、ZARAからの回答は、“彼女はインディ系の一人のデザイナーである。我々は巨大企業で、今回のケースが取り沙汰される程には、彼女は充分に知られていない”といった内容の回答だったという。彼女に知名度がないといっても、これまでADIDAS、NIKE、HELLO HOLIDAY、URBAN OUTFITTERなどと仕事をした実績を持っている女性である。  ZARAとの交渉の為に既に彼女は弁護士に2000ドルを支払っていた。彼女のファンが資金的に協力したいという申し出もあったそうであるが、彼女はファンにその協力を断っていた。その代わりに、ファンのネットでも今回の盗用のことを広めて欲しいと依頼したそうだ。そうは言っても、彼女は法的解決に諦めることなく、弁護士を通して訴え続けた結果、ZARAの方で盗作とされているものの生産を中止し、インディテックスの弁護士と和解交渉に取り組んでいるそうだ。(参照:「20minutos」)
次のページ
「被害者」たちの結束
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会