スコットランド独立論争が再燃。なぜこのタイミングで?

EUとの繋がりを維持したいスコットランドの思惑

 今回のスコットランドの動きには、EUとのつながりを維持したいという視点と同様、政治的な視点が多いにあると考えられます。  この独立住民投票を推進しているのは、与党である、スタージョン首相率いる国民党。これに、緑の党が協力しているという構図となっています。面白いのは、保守党、労働党、自由民主党などは、この独立住民投票の動きに反対している点。もう2014年に結論は出た、これはスコットランドに混乱をもたらす、などの意見が多いです。  そもそも、与党の国民党というのは、スコットランド独立運動を掲げている党。だからこそ、2014年に独立住民投票を行ったという過去を持っているわけです。そして、国民党は、独立住民投票を英EU離脱交渉が終わる前に行いたいと考えています。  なぜ、離脱交渉の結果を見極めてから、これを行わないのでしょうか。  その理由には2つの可能性があります。それは、英政府が離脱交渉で忙しくしている期間だからこそ、スコットランドの独立議論にかまっている時間はない、つまり時間が十分ある時よりも、独立容認へと傾きやすいという点。  さらに、離脱交渉は難航する確率が高い。これはつまり、スコットランド国民が、英国の未来を不安に思うことにつながりますから、スコットランド独立住民投票で独立賛成票を有利に集めることができます。このような読みを国民党がしている可能性は、十分あると著者は考えます。 <文/岡本泰輔> 【岡本泰輔】 マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。
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