元女性トラック運転手の筆者が主張。長距離ドライバーにふりかかる理不尽な現実

ドライバーの孤独な戦いを支えているのは……

 長距離ドライバーは、ひとたびハンドルを握ると、孤独、時間、睡魔との戦いを強いられる。  そのせいか、彼らには互いにコミュニケーションを取るのが好きな人が多い。車内に必ずあるものの1つは、ハンズフリーのイヤホンマイクだ。運転中、唯一自由になる口をひたすら使い、仲間同士、どこで渋滞が発生しているのか情報交換したり、深夜走行では互いが話し相手になったりして、居眠りさせない環境を作るのだ。  さらには、トラックドライバー同士、こういう心遣いがあるのはご存じだろうか。  あなたが普通自動車のドライバーだとしよう。  赤信号を先頭で右折待ちしている。自分の車の後ろにはトラック。対向車線にはこれまたトラックが同じように赤信号を待っている。こういう場合、信号が青になった瞬間に、対向車線のトラックはすぐに直進せず、あなたを先に右折させることが多い。  これは、あなたのために右折させたわけでなく、後ろのトラックのためにしていることなのだ。前の乗用車を先に通すことで、幅の広い後ろのトラックが詰まらず直進できるようにするのである。これはトラックドライバーの暗黙のマナーで、お互い全く面識がなくても、こうして互いに助け合う。  さらにだ。  あなたの後方にいたトラックは、あなたが右折した後、対向車線のドライバーに手をあげて挨拶をする。「ありがとな」と。すると、ゆずったトラックも「なんのこれしき」と手をあげてそれに応える。  筆者は、こういう状況を目撃するたびに、胸が熱くなる。歯がなくても、学歴がなくても、日本のトラックドライバーには、仲間を思いやるハートがあるのだ。  ネット通販の普及、産地直送、低い食料自給率。日本経済は、物流なしでは成り立たない。その物流を支えるトラックドライバーが、今、悲鳴を上げている。日本の生活をより豊かにするためには、まずトラックドライバーの生活を豊かにする必要があるのではないだろうか。<文・橋本愛喜>
フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。
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