日本人増加でタイのブロガー業界も競争が激化。内容がより細分化

タイ屋台3

屋台や食堂の魅力はおいしさのほか、店主や客らの素のタイ人と交流できるところにもある

 東南アジアの人気渡航先タイは、外務省が発表している海外在留邦人数が67424人になっている(2015年10月1日時点の集計数)。これはトップの米国から中国、オーストラリア、英国に続く第5位の人数で、国土面積から考えれば日本人密度はトップクラスと言える。  それほど日本人が多いタイでは自らが持つ情報を発信する人が増え、今やタイ人が知らないことまでと言っていいほど細かに調べ上げ、ネット上で公開している。  2000年前後はバンコクあるいはタイのローカル情報を発信している人はほとんどいなかった。ブロガーはすでにいたが、掲載ジャンルは「タイ」。広く浅くというものばかり。タイに関係する雑多な情報がひとつのウェブサイト内に羅列されているのが当たり前だった。  しかし、在住日本人や観光客が増え、ネット検索が当たり前になってくるとマクロな視点ではなく、ミクロに迫っていく内容でないと興味を持たれなくなってきた。そのため、ブロガーは「タイ好き」で括った多数の人に向かってではなく、次の段階以上にいる人をターゲットにするようになった。雑貨を買いたい人にだけタイ雑貨の情報を教えるように、読者ターゲットをあらかじめ絞って書かないと読んでもらえない。このカテゴリーならこの人に聞けばいい、といった印象を持たせることが今のブロガーの最初の目標になる。  バンコク在住ブロガーも在住者増加に合わせて増え、各ジャンルにおいても細分化が激しい。多くの人が興味を持つ飲食関係は特にその傾向が強い。これまでは飲食というジャンルであればタイ料理や和食、イタリアンなどすべてを織り交ぜた記事が普通だった。しかし、今ではそのやり方だと定期的に訪れてくれる読者がつきにくく、カテゴリーとしてレストランや食堂、屋台にまで細分化され始めている。  目のつけどころを他者とは変えていかないとファンを得ることはできないタイ・ブログ業界。今、バンコクを中心に屋台や食堂に特化して飲食店を紹介して人気になっている「激旨! タイ食堂」を運営する西尾康晴さんに話を伺った。
次のページ
競争の激しい「タイ・ブログ」業界
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会