そもそも目標年商の「150億円」は地方百貨店1店分の年商にも相当する額(三越では新潟、広島、松山各店の年商に相当)で、3,000㎡の売場面積でそれを達成するためには、よほど「高額商品偏重」の販売実績がないと難しい。三越伊勢丹では2016年4月に福岡三越にも空港型免税店を開設しており、他店でも展開していくとしていたが、今後の先行きは不透明だ。また、三越伊勢丹ホールディングスでは全体の2017年3月期の業績についても下方修正をおこなっており、連結営業利益は前期比28%減の240億円、最終利益は前期比51%減の130億円となる見込みだ。
これまでの三越伊勢丹は、この「銀座三越」、そして「日本橋三越本店」や「新宿伊勢丹」の売上で、地方・郊外の店舗や傘下に収めた地方百貨店を支え、相乗効果をあげるという構図だった。
しかし、空港型免税店が振るわないばかりか、三越の旗艦店が抱えていた高級店ゆえの「客層の高齢化」という問題が伊勢丹でも起き始めており、若者客の取り込みが喫緊の課題となっている。
こうした旗艦店の不振を受けて、千葉三越、多摩センター三越(旧・多摩そごう)が2017年3月中の閉店を決めているほか、今後は丸井今井札幌本店・札幌三越、新潟伊勢丹・新潟三越、伊勢丹松戸店、伊勢丹府中店、静岡伊勢丹、広島三越、松山三越の7都市9店舗についても売場面積の削減や業態転換などが示唆されている。
とくに千葉三越などは建物の老朽化も著しく(千葉三越は賃貸物件ではあるが)、築年数が高い建物が多い三越伊勢丹にとっては、こうした老朽店舗の改装費や耐震補強費も重荷となるであろう。(参照:「
都商研」)