消費者の“ホンネ”をあぶり出す表情認識AIは、売れる広告を作る有力なツールになりうる

表情認識AIは、私たちの無自覚な感情も検知する

 そこで注目されているのが表情認識AIを用いた調査方法なのです。  広告を観ている人々の表情を計測し、広告に対する感情を計測するのです。感情というものは自覚的なものもあれば、無自覚のものもあります。そしてその両方が、私たちの行動に影響を及ぼしているのです。表情認識AIは、私たちが自覚している感情は当然のこと、私たちが自覚していない感情、つまり潜在的な広告に対する選好を計測でき得るのです。  実際に表情認識AIを用いた広告選好研究結果の一例をご紹介します。  McDuff(2014)らの研究によると、広告の選好は、笑顔は広告の「好き」に関連し、「眉が引き上げられる」動きは広告の選好に関係なく、「眉が中央に引き寄せられる」「口角が引き下げられる」「鼻にしわが寄る」という表情は広告の「嫌い」に関連していることを発見しました。  笑顔は予想通りの結果です。 「眉が引き上げられる」動きは、驚きに関連する表情です。  驚き感情というのは、情報検索の機能を持つ感情です。したがって驚いただけでは広告の「好き」「嫌い」に影響を及ぼさず、驚いた後にどんな情報が提示されるかによって、「好き」「嫌い」が決まるのだと考えられます。 「眉が中央に引き寄せられる」「口角が引き下げられる」動きは、ネガティブ感情もしくは頭を使っているときの顔の動きです。  ネガティブ感情に関しては予想通りです。私が重要だと思えることは、理解するのに頭を使う広告を私たちは「嫌い」と判断する可能性があるということです。
次のページ
頭を使わずポジティブになれる広告は購買行動に繫がる
1
2
3
4
微表情を見抜く技術

無意識の感情の表われ「微表情」を読み取ることで、誰でもコミュニケーションの達人になれる!

バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会