『El Español』電子紙は柳井氏が<「ZARAはファッションを売っている。我々はファッションの要素を備えたアパレルを売っている」>と述べて、双方が直接の競争関係にないことを同氏が挙げていることを取り上げた。(参照:『
El Español』)。
また、『El Confidencial』電子紙では両社の違いとして次のようなことを言及している。<ZARAは消耗の早い、最新流行のアパレルを提供し、ユニクロは品質を優先し、それに耐久性を加えたアパレルを提供している>。更に違いとして、<ZARAは3週間で新しいアパレルを店に収めることが出来る。ユニクロは新しいアパレルを生むのに8か月から12か月が必要となっている>と指摘した。そして、柳井氏がスペイン進出について、<「スペインは我々にとって未知の国だ。しかし、スペインでのショップ展開がラテンアメリカそして、強いてはアフリカへの進出の橋渡しに成ることを期待している」>と述べたことも報じている。(参照:『
El Confidencial』)
もちろん、スペインでユニクロのライバルになりそうなのはZARA以外にもある。Mango、Priority、Desigualなどのブランドが、ユニクロのスペインでの発展を充分に邪魔する可能性を持っている。
また、筆者の個人的な見解であるが、ユニクロが品質と耐久性をより強調するのであれば、最初にマドリードに進出していた方が正解だったかもしれない。というのも、バルセロナでは余りにもファッション性を前面に出し過ぎる傾向があるからだ。
因みに、MangoもDesigualもバルセロナで誕生した企業である。また、消費人口においても、マドリード市は320万人に対し、バルセロナ市は162万人でしかない。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。