この度の政令は、カンボジアや香港、マカオ、シンガポール等の海外カジノに流出するベトナム富裕層を食い止め、年間10億ドルともいわれる「賭博収入」を国内に計上させるための方策である。
報道によれば、ベトナム財務省の金融・ファイナンス部門のファン・ティ・トゥ・ヒエン次席は「アジア域内の各国の実情を調査し、ベトナムでも同じことができるはずだと考えた」と記者会見で答えている。
ベトナムではカジノの自国民解禁のほか、こちらもやはり試験的な施策として、21歳以上の国民に、国際サッカー連盟(FIFA)管轄のサッカー国際試合を対象とした賭博を、3月中旬から認める方針を明らかにしている。
1試合の掛け金は、上限100万VND(約5000円)としているが、社会主義国としては異例の措置ともいえる。
他方、ベトナム東南部地方にある国内最大のテーマパーク「ダイナム公園」には、1月29日、複合競馬場がオープンしている。公園には、競馬場と大型バイクレース場のほか、ドッグレース場、水上オートバイレース場、自転車レース場を展開する。
ベトナムの「賭博解禁」により、富裕層はともかく、一般の国民がどのように変化するのか。ベトナム政府が、莫大な賭博収入を得る反面、失うものがあるのかに注目である。
<文・安達 夕>