1年のバックオーダー抱えるビルダー「多様な楽しみ方の受け皿に」
山音製輪所のブース。同社はツーリング車の製作が得意
今回で4回目の出展となる
山音製輪所(神奈川県厚木市)は、スポーツ自転車の中でも泥除けや荷台などを備えた「ツーリング車(旅行用自転車)」を作るのが得意だ。
「(自転車人気で)ロードバイクが一通り普及する中、ロードバイク以外の遊び方として、ツーリング車が選ばれるようになってきたのでは」
同社の尾坂允さんは、手作り自転車人気をこうみる。
ロードバイクは軽量でタイヤが細く、速度を出しやすい。そのためスポーツ自転車の中でも特に競技志向が強い。カラフルな専用ウェアを身にまとい、アルミやカーボンを使った最新モデルにまたがり、レースに出場したり、仲間と快走したり。そんな遊び方が様になるのがロードバイクだ。漫画やアニメで人気を博する作品『弱虫ペダル』も、近年のロードバイク人気の高まりを象徴している。
一方、ツーリング車は1970年代のサイクリングブームで隆盛を極めた車種だが、ロードバイクやマウンテンバイクが台頭する中で人気が縮小。近年はスポーツ自転車の中でもクラシックなジャンルとして認識され、熱心なファンを中心に細々と乗り継がれてきた。
「ツーリング車は、スタイル的に入りやすいという特徴もある。(サイクルジャージなどの専用ウェアを着なくても)普段着のまま乗れますし、ロードバイクと比べてゆっくり走れる。ロードバイクとは異なる遊び方に気付いた人が、選択肢の一つとしてツーリング車に乗っている」(尾坂さん)
ところが大手自転車メーカーが長らくツーリング車から撤退、あるいは販売を縮小させてきた中、市場への供給は少ない。そんな中でも、ツーリング車需要を支えてきたのが手作り自転車のビルダーだ。山音製輪所では現在、1年分ものバックオーダーを抱えているという。