なぜカナダ首相はトランプ大統領が拒んだ外国人を受け入れるのか?

足立力也
バンクーバー・ダウンタウン

バンクーバー・ダウンタウン入り口。貧困撲滅や子どもの可能性拡大などのスローガンが旗で掲げられている

 トランプ米大統領のイスラム圏7カ国からの入国禁止決定を受けた、カナダのジャスティン・トルドゥー首相のツイートが急速に拡散されている。

「迫害やテロ、戦争から逃れてきた人たちへ。あなた方の信仰にかかわらず、カナダ人は皆さんを歓迎します。多様性が私たちの強みです」

 同じ北米の、ヨーロッパ移民が建立した国で、どうしてこうも対応が違うのか。カナダの首相はなぜそこまではっきり断言できるのか。そこには、それぞれの国の社会を規定するアイデンティティの決定的違いがある。

「るつぼ」の米国と「モザイク」のカナダの違い

 よく米国社会のことを「人種のるつぼ」(メルティング・ポット)と表現する。それに対し、多くのカナダ人はみずからの社会を「モザイク」だと言い、米国との違いを意識する。

「るつぼ」は、ひとつの鍋(=国)の中ですべての具材(=人種や民族など)が混ざり合ってひとつに溶け合うイメージだ(実情はともかく、建前として)。つまり、「融合すること」が米国的価値観の中心をなしている。そこでは、何にも増して「アメリカ的であること」が第一に求められる。

 価値観の共有がナショナリティの帰属意識を形成するのはカナダも同様なのだが、過度な同化を求めないのがカナダ流だ。人種の雑多さは米国に勝るとも劣らないが、それはみずからの出自の誇りを失わせるものではない。「それぞれの色のピース(=人種、民族、宗教など)を、他の色と混ぜ合わせるのではなく、互いにつながりあってひとつのモザイク画を構成する」というのが、カナダ人自身が考えるカナダ社会のイメージなのだ。

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「世界で最も住みやすい街」

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