インドリーグで活躍中の元Jリーガー、カレン・ロバート ビザ取得と入国後の苦労について語る

FIFA非公認ながら凄まじい盛り上がりを見せるインドスーパーリーグ

 ちなみに、彼が向かったノースイースト・ユナイテッドが所属する「インド・スーパーリーグ」はFIFAに加盟していない。  本来、FIFAの規則で一か国につきトップリーグは一つでなければならないのだが、インドのサッカーのレベル自体が低く、シーズンも中途半端の長さしかないため、人気もない。カレン・ロバート曰く、「インド代表は市船が楽勝できるレベル」だという。そこで大富豪たちがお金を出して世界中のスーパースターを監督・選手として呼び、このリーグが立ち上がった。  本来なら、どこの国でも外国人枠というものが存在する。ベンチ入りは外国籍三人+アジア人一人というのが日本を含むアジアトップリーグの条件である。しかし、インド・スーパーリーグは逆で、「1名のスター選手と、8名の外国人獲得」が「義務」となっているのだ。  皮肉なことに、FIFA公認のリーグは全く人気がなく、「非公認」のはずのスーパーリーグは圧倒的な盛り上がりを見せている。試合こそクリケットのスタジアムだが、カレンのキャリア最高となる五万三千人の観客を経験したという。毎日のようにテレビでも放映され、経営者としてのカレン・ロバートにとって、スーパーリーグのプロモーション手法は大きな経験となったようだ。  本題に戻るが、契約を交わした翌日、カレン・ロバートはオーナーのサインも入った契約書の「コピー」を持参して東京のインド大使館に向かった。9月21日のことだ。 「代理人からインド大使館は気を付けろと言われていたんですが、何を気を付ければいいんですかね。こちらは契約書を持って行ってビザをもらうしかないですから」  結局、ビザは下りなかった。原本がなければダメだというのだ。
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ようやく入国したら、次はポジションがなかった
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