「同一労働同一賃金」の議論は抜け穴だらけで意味がない!

派遣法専門26業務の騒動

 そして、導入後は、問題とならない場合と問題となる場合の議論が百出、労働基準監督署への問い合わせは殺到し、解説セミナーが頻繁に開催され、いたずらに時間が経過、数年後には変更になるという、いやな予感がしてならないのだ。  あたかも、2012年に制定され2015年に撤廃された、労働者派遣法における専門26業務の騒動を彷彿とさせるのだ。この時は、派遣受入期間が3年と限られている専門26業務の範囲を巡って、派遣業界、人事部門、派遣従事者を七転八倒したのだ。  あげくのはて、26業務に該当しないように形式を整えて、幅広い業務を派遣社員に担わせようとする企業と、より長期に就業したいために就業先企業の意向に沿いたい派遣社員と、厚生労働省による業務停止を含む厳しい指導の下、違反事例を企業と派遣社員双方のヒアリングまでして摘発しようとする派遣会社との間で騒動が頻発し、挙げ句の果て、派遣会社と派遣社員、派遣会社と就業先企業の関係が悪化し、派遣会社が業績不振に陥る事態にまでなった。  その結果、26業務の廃止である。この騒動は何だったのか、ほとんどの関係者が唖然としたに違いない。私は企業の人事部長のひとりとして、この騒動の渦中におり、こうした事態は決して再発させてはならぬと考えている。
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同一労働同一賃金はパフォーマンス向上につながらない!
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