日本のマニアに愛されたタイの「死体博物館」。今は正式に博物館に

解剖学博物館は来訪者がほとんどいないため、閑散としている

 タイ前国王が崩御されたシリラート病院は、一部の日本人からは20年も前から有名だった。  通称「死体博物館」と呼ばれる人体標本展示室が無料開放されていたからだ。今は有料化されてしまい、かつてのようなアンダーグラウンドな雰囲気を持ったスポットではなくなってしまった。  筆者が初めて訪れたのは1998年1月のことだ。その後も旅行で訪れるたびに足を運んでいたが、バンコクに移住してから行かなくなった。バンコクの旧市街にあたる地域で、単に居住エリアから遠かったからだ。気がつけばこれら展示室は「シリラート博物館」として整備され、有料の博物館に変貌していた。

シリラート博物館への経路案内には日本語が併記される

 よほど日本人が多かったのだろう。公立とはいえ整備したからには客を呼び込もうという意気込みはあるようで、広大な病院敷地内に経路案内板が設置されているのだが、日本語が併記されている。バンコクの商業施設の看板は英語や中国語併記が圧倒的に多いのだが、シリラート博物館を訪れる外国人は日本人ばかりなのかもしれない。  シリラート博物館は5つの医学博物館と歴史博物館で構成されている。タイには「外国人料金」が公的に使用されていて、この博物館も同様だった。  外国人は6つの博物館を利用する場合は300バーツ(約970円)、医学博物館のみでも200バーツ(約650円)かかる。  外国人料金は国立公園などでも設定される。タイ人の言い分としては「タイの資産なのでタイ人は安く、あるいは無料。外国人には見せてあげるのだから高く」ということらしい。シリラート博物館もタイ人は80バーツ(約260円)だ。博物館はそれぞれ離れた病棟内にあり、それぞれが医学生向けの棟のそばにある。そのため訪問客の大半はタイ人学生で、彼らは勉強のために訪れている。その点では外国人料金も納得がいくが、かつての無料時代を知っている筆者としては外国人料金にはがっかりしてしまう。  果たして、無料だった1998年当時の人体標本展示室はどのような場所だったのか?振り返ってみよう。
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かつての「死体博物館」は?
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