米中、日中etc.――合作映画はなぜ増える?急成長する中国の映画産業。その特殊事情

娯楽施設として急速に定着しつつある中国の映画館

『君の名は。』が中国映画市場でヒットを続けており、同作品の公開延長が決定した。  しかし、一般的には、中国では作品問わず上映期間が1か月間と日本の映画を念頭に考えると短い印象を受ける。しかも、日本と違っているのは上映期間だけではない。

興収の6割を外国映画が占める中国

 中国の映画市場は国営『新華社』によると2012年に日本を追い抜き世界2位となり2015年の興行収入は日本の約4倍となる400.5億元(約6760億円)に達し、昨年比48.4%増と映画市場が急拡大している(ちなみに、アメリカの2014年の興行収入は104億ドル(約1兆2200億円)となっている)  昨年、中国で興行収入トップ10入りした映画を見ると国産映画6本、外国映画4本だが、総興行収入の6割を外国映画が占める。しかも、中国は年間に上映許可する外国映画を34本に制限している。そう考えると、中国では外国映画のほうが国産よりもヒットしていることが分かる。  中国での外国映画の歴史は浅く1992年に年間10本で解禁された。映画大国であるアメリカは、中国市場の将来性に早くから目をつけており、上映本数拡大を中国へ求めてきた。2009年にアメリカは中国をWTO(世界貿易機関)へ訴え、年間34本上映許可で米中合意で今に至る。その影響もあり、現在、中国で放映される外国映画の9割はアメリカ映画となっている。残りの1割の枠をヨーロッパや韓国映画が取り合っている状況だ。
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世界的ヒットが中国でもウケるわけではない理由
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