米中、日中etc.――合作映画はなぜ増える?急成長する中国の映画産業。その特殊事情

世界的ヒットが中国でもウケるわけではない理由

中国は映画によってチケット代が異る

 しかし、必ずしも世界的ヒット作品が中国でもヒットを飛ばすかというとそういうわけではない。  というのも、中国では当然のことながら中国政府が上映許可の決定権をもっている。そのため、政治的な理由でカットや修正を加えたりで世界的な大ヒット映画でも中国では上映されないことは珍しいことではないのである。上映許可されるアメリカ映画の多くはヒーローやアクション映画であり、政治や社会問題を扱う映画は少ない。  中国にとって映画は、大ヒット映画をバンバン上映して興行収入を稼ぐことよりも国内映画を保護することや反政府的な疑念を抱かせないための思想統制に重きを置くなど各種メディアやインターネットへの規制と同じなのだ。  今後、いくら日本がいい映画を制作しても今回のように中国で上映されるかは未知数なのだ。事実、中国では数年前から日本の映画やアニメ、ドラマなどを地上波で流すことを禁止されテレビから完全に姿を消している。中国は、いわば映画も内政の一部という実に特異な国なのだ。
次のページ
庶民の娯楽として定着する映画産業
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会