今後も驚きの発表が…将来的には常設「湯~園地」も?
熊本地震では震度6弱の揺れを記録。被害は少なかったものの、地震直後の温泉街は開店休業状態となってしまった(別府市・鉄輪温泉、2016年4月撮影)
実は別府市には、過去にも「人々をアッと驚かせる情報発信」を行うことで注目を集めた人物がいる。
それは、明治後期から昭和初期にかけて別府温泉の発展に尽力し、「別府観光の父」と呼ばれた実業家(亀の井グループ創業者)の油屋熊八氏だ。
熊八氏は1925年に富士山の山頂に別府温泉をPRする広告標柱を建て、1926年には温泉と合わせたツアーを組むために大型ゴルフ場を開設。1928年には大手新聞社の投票で別府温泉を1位にするために市内で葉書配布企画を実施、さらに同年運行を開始した定期観光バスには日本初の「バスガイド」を乗せるなど、当時からしてみれば「驚きの手法」で、観光客の、そしてマスメディアの目を別府温泉に向かせることに成功した。
別府駅前にある油屋熊八氏の銅像。 2016年12月にはPPAP+サンタのコスプレ姿となるなど、市民を「驚かせ」続けている
「湯~園地」のPR動画で大きな手ごたえを得た別府市長は、これからも別府温泉の良さを市民に、そして世界中へと伝えるために「別府にしかできない尖ったことを実行していく」と述べており、今後も「湯~園地」のような、100年前に倣った「人々をアッと驚かせる発表」が行われていくことが予想される。もちろん、最終的には別府市内に「湯~園地」のような施設を常設したいという思いも強いであろう。
外国人観光客が増え、世界的な「温泉ブーム」が起きつつあるなか、今を好機ととらえて積極的な情報発信をおこなっていくことを決意した別府市。本格的な「遊べる温泉都市」が実現するまでの道のりはかなり険しいものとなるかも知れないが、今後のさらなる展開に大いに期待したい。
2015年には市役所横の公道上に「日本最大の温泉スライダー」を期間限定で登場させて人々を驚かせた別府市。今後も「驚きの展開」が期待される
<取材・文・撮影/
都市商業研究所>
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
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