Jリーグが真っ先に「アジア戦略」のターゲットとしたのが東南アジア。急速な経済成長を続ける魅力的なマーケットであり、もともと高いサッカー熱を誇る地域でもある。
なかでも、経済規模やサッカーの実力で東南アジアの中心的存在であるタイは当初から「アジア戦略」の最重要国として位置づけられてきた。タイではちょうど2010年代に入り国内リーグが急速に盛り上がり始めていたこともあり、絶好のタイミングといえた。
タイリーグとの提携はリーグ間のみにとどまらず、クラブ間でも盛んに行われてきた。セレッソ大阪、ヴィッセル神戸、横浜F・マリノス、コンサドーレ札幌など多くのJリーグクラブがタイリーグのクラブと提携を結び、さまざまな交流を行っている。アカデミー世代を含めた選手や指導者の交流をはじめ、それぞれのスポンサーを絡めた動きを積極的に見せるクラブも出てきている。
タイのクラブとの提携において、とりわけ興味深い展開を見せているのがセレッソ大阪だ。
Jリーグが「アジア戦略」を立ち上げた直後の2012年3月にタイリーグの強豪であるバンコク・グラスとのクラブ間提携を締結。アカデミー世代の交流やバンコク・グラスの若手選手がセレッソ大阪の練習に参加するなどの活動を継続的に行い、2014年にはセレッソ大阪に所属していた元日本代表の茂庭照幸選手がバンコク・グラスに移籍するという大きな出来事にもつながった。