中国スマホ市場でトップに躍り出たOPPO、その戦略と勝因

ヒットの決めては「カメラフォン」戦略

自撮り機能を強化したOPPO Ulike 2(左)と回転式カメラのOPPO N1(右)

 中国では自撮りの需要が高いため、広東欧珀移動通信は自撮り機能に注力したのだ。  2012年に発表したOPPO Ulike 2がその始まりで、約500万画素の前面カメラを搭載した。画質の決定要素は画素数だけでないが、高画素ほど高画質とのイメージを持つ消費者は多く、分かりやすい指標のためメーカー側もアピールしやすい。当時の前面カメラとしては高画素で、自撮りで高精細な写真を撮れるとアピールした。  また、カメラアプリには美顔モードを搭載し、顔を美しく見えるよう工夫した。  2013年には回転式カメラを搭載したOPPO N1を発表した。多くのスマホは前面カメラより背面カメラの方が高性能だが、回転式構造により前面カメラでも背面カメラと同じ高性能なカメラを使えるとアピールした。特殊な形状ゆえに人気は出なかったが、広東欧珀移動通信の自撮り機能への取り組みを広く知らせた。  そして、OPPO R9は背面カメラより高画素な約1600万画素の前面カメラを搭載した。また、カメラアプリも強化して美顔モードは初期よりも格段に進化し、自撮り機能を極めたスマホに仕上げた。  こうして長期にわたり蓄積したハードウェアとソフトウェアの両面における自分撮り機能のノウハウは中低価格帯のスマホにも活かされており、広東欧珀移動通信の強力な武器となった。今や広告のキャッチコピーは「OPPO 拍照手机」、英語では「OPPO Camera Phone」、カメラフォンとして売り込んでいるのだ。  自撮りを日常的に使う若年層に対し、お洒落に自撮りを楽しめるカメラフォンと言えばOPPO、そんなイメージを構築したのである。
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実店舗販売に注力
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