かつての「カオスな電脳街」はいま。安売り家電量販店に押され、苦戦続くタイ「パンティップ・プラザ」

2016年7月時点(リニューアル直前)のパンティップ・プラザ

「バンコクの秋葉原」とも言われ、怪しげなパーツやジャンク品が溢れ、国内外のギークから注目を集めていたパンティップだが、近年は訪問者が激減している。全盛期は1日あたり3万人は来場者がいたものが、近年は1万人以下になっている。  タイの各都市に乱立する商業施設にも最低で1軒は入店しているほど家電量販店が台頭していることが原因のひとつだ。そうした店でパソコンや周辺機器も安く買えるようになったので、わざわざ渋滞の激しい都心にあるパンティップに行く理由がなくなったのだ。  同時に、購買力が上がったタイ人にとって多少高くとも正規店、あるいは保証制度がしっかりしている量販店を選ぶ傾向になる。観光客にはおもしろく映るパンティップの雑多で怪しげな雰囲気が逆に仇となった。

パンティップ起死回生のリニューアル策も……

 そして、パンティップは起死回生の策として、2015年初頭ごろから一部を封鎖しながら、3億バーツ(約12億円)もの費用をかけて内装工事を実施(当初の予算で実際の総工費は不明)。2016年8月8日にリニューアルオープンとなった。来場者目標を1日3.5万人超を目標に、テナントのほかEスポーツの開催にも力を入れる。これによってパンティップは復活できるのか。リニューアルしたパンティップの様子を何度か見に行ってみた。  まず、8月中旬と9月上旬の時点では入居、あるいは再入居しているテナントは5割もなかった。フロアによっては3割オープンと言ってもいいくらいだ。ほとんど空き家状態では盛り上がろうにも盛り上がらない。かつてはパソコン関連の商品のみを扱うプライドを感じたが、今ではスマートフォンなどの携帯電話ショップも目立つようになっているし、海賊版ソフトのショップは時代の流れとしてリニューアル後はほとんどなくなって、怪しくて雑多な雰囲気は消えた。1階のオープンスペースではイベントを頻繁に開催しているので一見元気なように見えるが、上の階に上がるにつれて閑散とし薄暗い。最上階にはタイでも老舗になるIT量販店「IT CITY」がフロア丸ごと占有しているが、ここも悲しいくらいに人が少なかった。
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残された手は「安売り」
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