かつての「カオスな電脳街」はいま。安売り家電量販店に押され、苦戦続くタイ「パンティップ・プラザ」

高田胤臣

国王崩御後、11月のパンティップ。ビジョン広告が取り止めになっているが、前の道路の渋滞は相変わらず

 国王崩御からもう1か月が経つタイ。

 国民の心情にいまだ混乱はあるものの、日常は崩御翌日でさえ平常だった。在住日本人の中から絶大な支持と尊敬を集めていたプーミポンアドゥンヤデート国王崩御により混乱があるのではないかと予測する声もあったが、少なくとも経済活動に大きな影響はなかった。タイ、特にバンコクは先進国と引けを取らないほど発展していて、高層ビルも乱立し、世界中のブランドや製品が手に入る。これだけの市場規模であることから経済そのものが停滞することを許さなかったのだろう。

 タイの経済活動は2010年くらいを境に様相がだいぶ変わった。amazonなどは進出していないものの、先進国同様にネット通販も充実してきたし、辺鄙な場所に実店舗があってもマップを見れば容易に足を運べる時代になった。かつてのタイではほしいものがあればその製品に関連した問屋街、あるいは専門市場に行かなければならなかった。

 タイ国内のネット発展黎明期のIT関連も同じで、かつては「バンコクの秋葉原」とも呼ばれた「パンティップ・プラザ」に誰もが足を運んだ。素人が見ればジャンク品のようなパーツが所狭しと並べられ、自作パソコンを作るタイの若者や、修理のためにデスクトップの本体を抱えてやってくる会社員らでごった返していたものだ。

 海賊版ソフトも品数豊富に売られていて、呼び込みの店員が汗ばんだ手で客の腕を引っ張る。バンコク在住者はタイ人外国人問わず「パソコンといえばパンティップ」というほどITの聖地であった。

 そんなパンティップも時代の波に押されて訪問者が激減している。

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凋落する「カオスな電脳街」

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