それはなぜかといえば、クライアントが言っていることは、反対のことを言っているから。その他の3つの事例も同じだ。あなたの話を聞いているのではない・私の話も聞いてください、あなたは全くわかっていない・私はわかっています、私が言いたいことはそういうことではない・言っていることはそういうことです……いずれも反対のことを言っていることにお気づきだろう。
私が展開している「分解スキル・反復演習型」は、首尾良く進まない状況をパーツ分解していき、状況を好転させることに最も高い効果を生み出す、元となるパーツスキルを見出し、その分解スキルを反復演習して、状況を好転させることができるようにするものだ。この例では、反対のことを言ってしまうことが元となって、応酬になり、強い反論の火に油を注いでしまうので、「反対のことを言わない」というスキルを身につけて反復演習していく。
そもそも、クライアントが強い反論に込めている思いは、聞いている・聞いていない、わかっている・わかっていないということを白黒つけることではなく、私の言うことを聞いてくれ、気にしてくれ、理解してくれ、真意を汲んでくれということなのではないだろうか。事実、聞いている、気にしている、理解している、真意を汲んでいるということをクライアントがわかると、反論は格段に緩和される。