日本はただの「顧客」だった? 最新鋭戦闘機F35をめぐる駆け引き

「パートナーではなくカスタマー」

 ここで、オーストラリアの考え方で見逃してならない点に、「パートナー(仲間)」という意識がある。  米豪のインフラ投資が決まった後、現地でこんな報道が流れた。 「ペイン国防相はこう言った。オーストラリアの会社はJSF事業を確固たるものにできる、なぜならばオーストラリアはカスタマーではなく、パートナーだから」。(参照:『NT News』)  例えば豪空軍ではF-35A Lightning II Joint Strike Fighter(JSF)を解説するときに必ずといっていいほどこのフレーズをつける。 「JSFプログラムはパートナー9カ国 – オーストラリア、カナダ、デンマーク、イタリア、オランダ、ノルウェー、トルコ、イギリス、そして米国(空軍、海軍、海兵隊)- これらの国家がF-35A運用について共通の戦略・技術・手順を開発する共同訓練をします」  その一方で、ロッキード社は上記9カ国「オリジナルパートナー」(表中の赤枠)に加えて、「イスラエル、日本、韓国という3カ国の海外有償軍事援助(foreign military sale、FMS)のカスタマーは、2016年に第1号機を受け取るでしょう」(参照:『ロッキード社』)としている。  日本はカスタマー(顧客、表中の青枠)なのだ。  かつて日本は武器輸出三原則があったため、F35の開発・生産には加わっていない。オーストラリアからすれば「自分たちの事業であるから、自分たちで受注するのが当然」と思ってはいないだろうか。  レストランで言えば「メニューを考えるのは俺らシェフ9人だから、お客のあんたは黙って席に座って食べててくれ」ということになる。
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F35整備事業で日本はイニシアチブを握れるか?
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