ついに定まった一群の人々による「改憲への照準」――シリーズ【草の根保守の蠢動30回】

菅野完

百地章・日大教授(左)。隣に座る西修・駒沢大学名誉教授とともに安保法制合憲派法学者3人の1人

 夏の参院選の結果、所謂「改憲勢力」が国会で2/3を占めることとなり、憲法改正が一挙に現実味を増してきた。今国会ではいみじくも安倍首相が「改憲にリアリティが出てきた」とさえ答弁している。

 昨年2月に始まった本連載の冒頭は、自民党憲法改正推進本部長・船田元(当時)と、安倍首相との会談のシーンから始まる。あの時、船田元は「憲法改正案原案の提示は2016年夏の参院選前ではなく、選挙後になる」という見通しを語った。まさに1年前の予告通りに、自民党政権は改憲への道を突き進んでいるのだ。

 船田はこの前後に極めて興味深い発言をしている。「憲法9条では国論が2分する。まずは変えやすいところから」という、おなじみの「お試し改憲論」に始まり、その「お試し改憲」についても「環境権や緊急事態条項など、国民の合意を得やすいところから」と、具体的に踏み込んだ発言をしているのだ。このうち、「環境権」は自民党と連立を組む公明党へ配慮したものだろう。公明党の掲げる「加憲論」では常にこの「環境権」なるものが前面に押し出されている。「緊急事態条項」については、東日本大地震の記憶がまだ鮮明である中で、国民的合意を取り付けやすいという計算から言及されるものであろう。

 こうした自民党を代表とする改憲勢力の言動に対し、護憲勢力側も敏感に反応している。昨年の安保法制議論では、「9条を守れ」の掛け声が高まった。また、改憲勢力側の主張する緊急事態条項の危険性について訴える言説も大量に流れた。
 しかし果たしてこの議論、噛み合っているのだろうか?

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保守言論人への改憲アンケートで異彩を放っていた2人

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日本会議の研究

「右傾化」の淵源はどこなのか?「日本会議」とは何なのか?

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