日本が敗北したオーストラリア潜水艦商戦。いまだ余波やまず

沢木サニー祐二

豪潜水艦開発問題の「余波」

 オーストラリア現地では、潜水艦開発問題の「余波」が続いている。

 フランスDCNSがインドで行っている潜水艦開発に関連して8月、情報漏洩が発覚した一件だ。

 DCNSはブラジル、マレーシア、チリなどにもスコルペヌ級の技術提供をしており、各国で警戒感が強まった。豪潜水艦建造の本拠地である南オーストラリア州選出の無所属ゼノフォン上院議員は、「すべての真相が明らかになるまで、(フランスとの)交渉中断を考慮するべき深刻な漏洩」と声明を出している。

 NSW州最高裁判所は、2万2400ページの機密文書を入手した豪新聞社に対し、機密事項の報道の禁止と入手情報の返還を命じた。

 DCNSが過去に契約したマレーシアでは、殺人事件も起きている。

 2002年にDCNSはマレーシア政府にスコルペヌ型潜水艦2隻、総額12億米ドルの売り込み交渉を行った。その際、政府幹部に対して贈収賄を行った疑いがメディアに報じられた。現地紙シドニー・モーニング・ヘラルド(SMH)などによれば、DCNS関連会社は、当時防衛大臣を務めていたナジブ・ラザク氏(現マレーシア首相)に対し、技術顧問料を支払ったという。その額にして3000万ユーロ(約34億円)だ。このとき通訳をした女性(28歳)は、クアラルンプールの郊外で2006年、他殺体で発見されたのだ。(2015年5月9日、SMH)

 女性が交渉内容をもとに金銭を要求していたとの報道もある一方で、殺害した元警察官のふたりのうち1人はすでに死刑判決で収監。もう1人はオーストラリアに逃亡後、身柄を拘束され、いまはシドニー郊外の難民収容所にいる。本人は殺害を「命令された」と述べており、いまだ捜査継続中だ。

 すでにフランス検察当局は「外国人公務員に対する贈賄容疑」でDCNS関連の捜査を開始したという(2016年2月5日、Financial Times)。

 今後の展開によってはDCNSのセールス手法が明らかになる可能性もある。

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