プーチンはロシア帝国復活を狙うのか? ロシアが旧ソ連時代の海外基地復活を計画

「地中海を抑える拠点」としてのエジプト

 エジプトについては、ナセル大統領の政権時のエジプトはソ連にとって中東における最も重要な国となっていた。しかし、ナセル大統領が心臓発作で亡くなり、軍人サダトが大統領に就任すると、当初は親ソを維持していたが、次第に方向転換を図り、嘗ての敵であったイスラエルと和平協定を結ぶまでになった。その影響でエジプトから多くのソ連の軍人が退去せざりを得なくなり、その多くがシリアに移動したのである。この外交の転換には、エジプトの財政危機とイスラエルとの戦争への疲れ、そして米国からの資金と武器などの支援を受ける為の条件としてイスラエルとの和平合意が条件となっていたという背景があった。  それ以後のエジプトは、ムバラク大統領の政権まで親米路線の外交を展開して行くのである。しかし、2011年にアラブの春が起きて、ムスリム同胞団に支援されたムルシーが大統領になると、米国はエジプトの民主化への動きに賛成して、オバマ政権はムルシー大統領を支援する路線を取った。そのため、ムルシー大統領を支えるムスリム同胞団の発展を望まないサウジアラビアなどが中心になって、シシ大統領を誕生させた。
次のページ
オバマの対エジプト外交が虎の子を起こす
1
2
3
4
5
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会