またロシアはベトナムのカムラン湾での軍事基地の復活も望んでいるという。(参照『
La Vanguardia』)
これについては、ベトナム政府がどこまで関心を寄せるか不確定要素が強い。何故なら、昨年7月にグエン・フー・チョン書記長が初めて米国を訪問しているのである。その主要目的の一つが南シナ海における最近の中国の動きをベトナムは脅威に感じており、米国を訪問して中国を牽制する狙いがあったという。
ベトナムとロシアの関係は長い歴史をもっており、ASEANにロシアが接近するように手助けしたのはベトナムであった。しかし、ロシアは中国と連携関係を結んでいる手前、ベトナム政府はロシアがカムラン湾に基地を設けることが中国を牽制することに繋がるか疑問に感じているという。
世界における米国の影響力が後退している今、ロシアは中国との協力も得て世界での影響力を強めたいと望んでいるのである。
<文/白石和幸 photo by
Kremlin.ru(CC BY 4.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。