安倍首相と李克強首相がキューバ訪問。キューバを中心としたスペイン語メディアの評価は?

白石和幸

photo by Greg Montani via pixabay(CC0 PublicDomain)

 キューバ政府にとって9月は多忙な日々となった。世界から3人の国家リーダーの訪問を受けたのだ。

 イランのハサン・ロウハニ大統領、安倍晋三首相そして中国の李克強首相である。その要因をつくったのは当然米国の54年振りのキューバとの国交の回復である。そして、キューバに課されていた制裁の一部が解除されたことによるものである。この制裁解除によって、世界の主要国が地政学的に重要なキューバの市場開拓に始動開始しているのだ。

 今回、中国の李克強首相は、安倍首相がキューバでの訪問を終えた後、すぐにキューバ入りした。李首相のキューバ訪問の日程は安倍首相がキューバに到着した時点ではまだ決定していなかったにも関わらず、だ。このことから、安倍首相の訪問を牽制する意味で急きょ組まれた訪問であると思われる。しかも、いつも単独で外遊する李首相が不思議と今回は、安倍首相が外遊でいつも夫人を同伴するように、彼の夫人を同伴させていた。このこともまた、安倍首相を意識してのことかもしれない。

 この二人の首相のキューバ訪問について、主要紙は次のような見出しでそれぞれ記事にしている。

●スペイン紙『El País』「中国と日本がキューバでビジネスするのに戦う」
●キューバ電子紙『Marti』「キューバ外交が極東に焦点を当てる」
●ラテンアメリカのシンクタンク『Infolatam』「アジアの強国がキューバに橋を架ける」

 共産主義国家として運営されてきたキューバだが、10年前、ラウル・カストロが国家の舵取り役になって以来、これまでの政治組織体制を維持しながらも改革への門戸を開きつつある。何故なら、現体制では国の成長はもう望めなくなっているということを指導層は熟知しているからである。しかも、キューバとの取引では一番重要だったベネズエラが経済崩壊の寸前にまで来ている。キューバの発展に重要な原油もベネズエラから安価な価格で輸入できなくなっている。

 このような事情下でキューバが比較的に早い成長を遂げるには、GDP3-3.5%の成長を達成する必要があるという。それには20~25億ドル(2000~2500億円)の総生産が必要だ。しかし、今年上半期の成長は1%に留まっているものの、計画は2%であったという。それを達成するために、キューバが必要としているのは外国からの投資なのである。その意味では、どこの国からであろうと投資を歓迎する姿勢だという。(参照:「El Pais」)

 その意味でも、日本と中国という経済大国の訪問は、キューバメディアにとっても大きな話題となった。

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安倍訪問はどう評価された?

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