もう一つの「東芝事件」――手を挙げない“高ストレス者”に自己責任を求められるのか?

東芝本社ビル photo by Lover of Romance CC BY-SA 3.0

 昨年12月、心の健康診断とも言える「ストレスチェック制度」が始まりました。この制度は職場のメンタルヘルス対策のセルフケアの強化・徹底と、職場環境の改善を目的とされています。

 厚生労働省の指針によると、心の健康診断結果は体の健康診断結果よりもプライバシー度が高いものとして、より慎重に扱うべきとされています。ストレスチェックテストの結果も、例外はあるものの、基本的には受検者本人の同意なく会社に開示されることはありません。

高ストレス者であることは隠すべき!?

 しかし、もし自分がストレスチェックテストを受け、高ストレス者だった場合、会社にそのことを隠すことでデメリットはないのでしょうか? 会社側に「Aさんはご自分が高ストレス者であったことを会社に伝えてくれなかったので、会社としてはケアできなかった(安全配慮義務を果たせなかった)」と、言われることはないのでしょうか?

 結論から申し上げると、その心配は不要です。

「メンタルヘルスに関する情報は、本人が申告し難いことを前提とし労働者の体調悪化を察知し得る段階では労働者側から申告がなくとも、それに応じて業務軽減等必要な対応を図るべき」というのが、司法の見解です。

 今回はこのような見解を出した「東芝(うつ病・解雇)事件」(東京高判平成23年2月23日労働判例1022号5頁)について、考えてみたいと思います。

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不正会計ではない、「東芝事件」とは?

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