北朝鮮、潜水艦発射弾道ミサイルの発射に成功。大きな脅威となりうる技術習得の可能性も

鳥嶋真也

SLBMに注力する理由

 一つは発射準備を相手に知られにくいという点である。陸地から発射する際には、上空の偵察衛星によってその動向がわかってしまうため、先制攻撃を受けたり、迎撃の準備を整えられたりといった可能性がある。しかし海中から発射する場合は、ミサイルが海中から飛び出して飛行を始める、まさにその瞬間まで隠し続けることができるため、相手の対応の時間を遅らせることができる。  また、ミサイルの射程が短くても、潜水艦で目標地まで接近してから発射することで攻撃が可能になる。たとえば射程500kmのミサイルの場合、北朝鮮の本土から撃っても日本には届かないが、潜水艦で日本近海まで進出して発射すればどこでも射程内となるし、理屈の上では米国の海岸沿いの都市でさえも狙うことができる。  しかし、SLBMの開発や運用は非常に難しい。まずSLBMは潜水艦に積むため、ミサイル機体の全長や直径に制約があり、その中に収まるように造らなくてはならない。また、ミサイルの射程を伸ばそうと機体を大型化することも難しい。  何より、潜水艦の中から水中へ射出し、水の中を進んで海上へ飛び出し、さらにロケットに点火して飛んでいかねばならない。海中と空中ではミサイルをとりまく環境がまったく異なり、その中できちんと動くミサイルを開発するのは至難の業である。かといって頑丈に造ろうとすれば、機体が大きく、また重くなり、ミサイルとして役立たない上に、前述のように潜水艦に積めなくなってしまう。  こうした技術的な困難がありながら、そして実際に難航しながらも、北朝鮮がKN-11の開発に躍起になっているのには、彼の国がSLBMのもつ利点を重視し、この技術を何としてでも手に入れたいという思惑があるのだろう。
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KN-11は、R-27やムスダンとは別の技術を使うミサイル
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