鳥貴族と塚田農場、「脱・ブラック居酒屋」を掲げるも思わぬ誤算

 1990年代から2010年代初頭までの長きにわたり、圧倒的な低価格を実現、人気を博していたワタミなどの激安居酒屋。かつては「デフレの勝ち組」と呼ばれていたが、アベノミクスのあおりを受けて、求人倍率は上昇。雇用確保に高い賃金が必要になり、人手不足が生じたことで一転、こうした「ブラック外食」のビジネスモデルは限界を迎えた。
鳥貴族

photo by Masao Kamosawa CC BY-SA 3.0

 そこに取って代わる形で台頭してきたのが、「塚田農場」を手がけるエー・ピーカンパニーと、「鳥貴族」だ。両社はともに駅チカへの出店という居酒屋の常識を覆し、駅から離れた二等地に店舗を構え、地代を抑えた。

曲がり角を迎えた「ホワイト居酒屋」

 自前で農場を持つ「塚田農場」は「みやざき地頭鶏」というブランド鶏を育て、流通・商品企画に役立てる垂直統合モデルを確立。「鳥貴族」はメニューを鶏関連の簡単なものに絞り込み無理なく従業員の省力化を進め、「安い割に美味しい」価値を提供することで、急速に売上を伸ばしてきた。 「鶏肉」を軸にした新時代の居酒屋チェーンともいえる両雄だが、ここ1年で壁にぶつかっている。エー・ピーカンパニーの株価は1年で約3分の1に、鳥貴族も約2分の1に落ち込んだ。一体、何が起きているのか。決算書の分析により、深層に迫りたい。  売上の推移を見ると、エー・ピーカンパニーと鳥貴族はほぼ同じペースで歩んできていることがわかる。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=107304  ただ、出店数は塚田農場のほうが少ない。代わりに同社は高単価なオリジナル鶏料理を提供し、客層も大学生に限らず若手社会人も取り込んでいて、客単価が高い。しかし、ここ1年半ほど既存店の前年同月比で100%割れがずっと続いている。
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