ジャニーズ事務所、SMAP解散騒動で注目!求められる芸能ビジネスの転換

決算書や財務諸表などの公開情報をもとに、さまざまな企業を分析し、その知られざる実態を明らかにする本連載。第11回目はSMAP解散騒動で話題になったジャニーズ事務所、そしてアミューズ、エイベックスなどの大手芸能事務所に切り込みます! 人気タレントの高齢化、音楽産業のビジネスモデルの変化など、転機期を迎えた芸能ビジネスの未来とは――

ジャニーズ事務所本社 photo by Momotarou2012 CC BY-SA 3.0

 多くのメディアで報じられているとおり、今年末にSMAPが解散することが明らかになった。1月に独立に失敗して以降、その動向が注目されていたが、グループの存続は無理だったらしい。会見や解散イベントなども行わなわれない模様だ。  嵐に次いで、いまだジャニーズ事務所の顔であるSMAPの解散は、年間600億、1000億円とも言われる同事務所の売上に多大な影響を及ぼすだろう。その額はいったい、いかほどになるのだろうか? 他の上場している企業の事例を見ながら、芸能事務所のビジネスモデルの現在を探っていく。

アミューズとエイベックス

 現時点で上場している事務所は2つ。サザンオールスターズや福山雅治、Perfumeを擁するアミューズと、音楽事務所として最大手のエイベックスだ。決算書を読み解くと2社ともほぼ無借金経営で、大量のキャッシュを手元に持っているという特徴が伺える。特にアミューズは年間売上高358億円の約半分にあたる177億円もの現預金を有している。  企業が上場する理由は、主に資金調達や世間に対する信頼性の醸成だが、芸能事務所は多額の資金調達を必要としないので大半が上場していない。  そんな芸能事務所のビジネスモデルは、タレントを発掘して自社で抱え込み、あらゆるメデイアに露出させて印税やCMの出演料を得たり、自社で手がけるライブイベントや音楽・映像配信などさまざまなコンテンツに落とし込んでマネタイズするのが基本だ。  この特徴は、近年のメディア業界における事務所の地位向上を後押ししている。というのも、ネットの台頭によって競争が激化し、メディア業界では紙媒体やテレビの凋落がささやかれている。しかし、これはタレントを抱える事務所にとっては、新しいチャネルが増えたことに他ならない。タレントという根幹を抑えているから、メディアがどのように多様化しても対応できるし、新しいタレントを起用させたり、選択肢が増えるというチャンスの拡大と交渉力の増大を意味しているのだ。
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社員1人あたりの売上高は大手製造業並
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