週の労働時間が55時間以上で脳卒中リスクが33%上昇
2016年6月、ロンドン大学から「労働時間と病気」の関係をチェックした論文が2本出ました(1,2)。働き過ぎがカラダに悪いのは常識ですが、それでは「具体的にどれだけ働くとヤバいのか?」を調べあげた内容になっています。
まず1本目の論文は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどの国から約60万人分のデータを集め、「労働時間と心疾患」の関係を8年半にわたって追跡調査したものです。その結果は以下のようになりました。
・週の労働時間が40時間までなら健康への影響はなし
・週の労働時間が41~48時間になると、脳卒中のリスクが10%高まる
・さらに週の労働時間が55時間を超すと、脳卒中リスクが33%、心疾患リスクが13%高まる
なんと、安全ラインは1日8時間の労働を週に5日まで。この基準を超えて少しでも超えた時点から、脳卒中のリスクが高くなっていくのです。もはや大半のサラリーマンには不可能なラインでしょう。わたしも、この数字を見たときは絶望的な気分になりました。
続いて、もう1本の論文も見てみます。こちらは、ヨーロッパやアメリカにくわえて日本人のデータ約22万件もふくめたうえで、「労働時間と糖尿病」の関係を7年半にわたって追跡調査しています。その結果は以下のとおりです。
・週の労働時間が33~40時間までなら健康への影響はなし
・週の労働時間が55時間を超すと糖尿病リスクが30%高まる
こちらも、週に40時間の労働が基準になっています。どうやら、厚労省の過労死ラインよりもはるかに下の段階から、サラリーマンの寿命は短くなっていくようです。
乱れた食事や運動不足など、働き過ぎで寿命が縮む理由にはいろいろありますが、なかでもダメージが大きいのはやはりストレスです。