三菱自動車本社 photo by Aimaimyi CC BY-SA 3.0
8月4日、’15年度期の決算が出揃い、大手7社中6社が営業減益であることが明らかになった日本の自動車業界。今年4月には三菱自動車とスズキで燃費の不正が発覚したのも記憶に新しい。
三菱自は日産自動車に買収され、スズキは鈴木修会長がCEOを退任するなど経済界を揺るがす大騒動に発展した。そんな2社の有価証券報告書を読み解くと、ある「2つの指標」が一致していることがわかった。数字を読み解きつつ自動車業界の実態に迫っていきたい。
まず、三菱自動車を中心に見ていく。日本の自動車業界における三菱自のポジションは、トヨタを圧倒的首位とする専業の中では4位、総合メーカーを含めると6位という位置づけだ。
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売上高ではトヨタの10分の1ほどである。この規模感では、ど真ん中の市場で大きなシェアを取りに行くことは難しい。そこで同社が狙いを定めたのが世界的には珍しい、ミニバンなどを始めとする軽自動車というニッチ市場だった。
低コストで開発できる軽自動車に注力する三菱自の研究開発費は売上に占める割合が2%程度で、3%を超えるトヨタとマツダ、5%近い日産と比べると圧倒的に低い。
反対に、三菱自がトヨタ、日産、マツダの3強よりも高い割合を誇るのが売上高に占める宣伝広告費だ。売上高の4.6%ほどもあり、1.6%程度であるトヨタの3倍近い。
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何を隠そう、三菱自は’15年に東洋経済新報社が発表した「広告宣伝費が多い企業ランキング」で全企業中10位にランクインしている。同社より上位なのは、自動車の3強、小売最大手のイオンやセブン&アイHD、武田製薬工業など売上高でも日本を代表する企業ばかりだ。
同じく東洋経済が発表している「『広告費宣伝費』を増やしたトップ100」でも、三菱自は堂々の7位にランクインしている。