三菱自動車、不正燃費問題に揺れる自動車業界の気がかりな指標とは?

 日本の自動車メーカーが今後も発展していくために、筆者はメディアの役割が重要であると考える。  メーカーとメディアの距離感は重要だ。拙著『進め‼︎ 東大ブラック企業探偵団』では、家電メーカーに取り入って企業に都合のいいことばかり発信する架空の御用ジャーナリストを登場させ、企業報道が歪むことの危険性を示唆した。  広告宣伝費をたくさん支払う会社はメディアの“お得意様”であるから、編集と広告の中立性が保たれているとしても、どうしても思い切った企業批判はしにくくなる。

メディアは自動車業界に緊張感を与えよ

 そして本稿で見てきた通り、どの業界よりも広告宣伝費を使っているのは自動車業界だ。多くの経済メディアでは自動車業界担当は記者にとっての花形ポジションの一つだが、普段から批判的な論調が載るようなことはあまりない。  結果として、それが経営陣の気を緩ませ、甘い内部統制や誤った経営判断に歯止めがきかない状況に繋がりかねない。  だからこそ、今回のように各社一斉に減益したり、大きな不祥事が明らかになって世間の注目が集まり、取り上げざるを得ないようなタイミングでこそ、メディアは自動車業界に緊張感を与える報道を積み重ねていく必要があるのだ。 <文/大熊将八 photo by Aimaimyi via Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0> おおくましょうはち○現役東大生にして、東大・京大でベストセラーの企業分析小説『進め!! 東大ブラック企業探偵団』(講談社刊)著者。twitterアカウントは@showyeahok
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進め!! 東大ブラック企業探偵団

ニッポンを救うホワイト企業はここだ!!

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