日本人はなぜ不安なのか? 40年前に書かれたライシャワーの洞察

石黒隆之

photo by Larisa-K(CC0 PUblicDomain)

 確かに日本は豊かになった。にもかかわらず、いまだ幸せだと感じにくいのはなぜなのだろう? 内閣府の平成26年版『子ども・若者白書(全体版)』によると、自分の将来に希望を持つ割合は諸外国の中で最も低く、60%程度しかいないのだという。もっとも、その数字ですら高いように感じられる昨今の情勢である。

 こういった調査結果はなんとなく受け流してしまいがちになるが、もしそこに本質的な問題が潜んでいたとしても、無視できるだろうか。なぜ経済大国であることと、幸せに暮らすことがイコールで結ばれないのだろうか?

 いまからおよそ40年前に、こうした日本の姿を“予言”したアメリカ人がいる。

 1961年から1966年まで駐日アメリカ大使を務めたエドウィン・O・ライシャワーの『ザ・ジャパニーズ』(訳・國弘正雄 文藝春秋 現在絶版)。江戸時代末期から昭和40年代までの日本の社会制度や政治体制の変遷を調べ上げ、日本人の営みをひとつかみに記した名著だ。

 しかし何よりも恐ろしいのは、その時点での分析から、いまの日本が直面する困難を導きだしている点だ。読んでいると、答え合わせをしているような気分になるのだ。

 というわけで、いくつかトピックに分けて見ていきたい。

次のページ 
危ういバランスの上に成り立つ豊かさ

1
2
3
4
4
5
関連記事
6
7