まず「眉が下がる」という動きに対して、過剰に「相手が怒っている!」と反応しないことが大切です。
このケースのように上司が怒っていると考えてしまうと焦ってしまい、説明がしどろもどろになってしまいます。実際、私が懇意にさせて頂いているある役員の方が、「部下の話を真剣に聞いているだけなのに、どうも部下に誤解を与えてしまっているようです。部下の発言を真剣に考えているだけなのですが。」とおっしゃっていました。部下の話を真剣に検討しているだけなのに、怖い上司だと部下の方に思われてしまうようなのです。
そこで眉だけが下がる顔の動きに気付いたら、「あれ、今、私の話は理解されていないかも知れない」と考え、
説明の仕方を変えてみましょう。
例えば、具体例を挙げるなど説明をより丁寧にする、これまでの話しの要約をする、「ここまでで何かご不明な点はありますか」と質問する、話に間を置く、このような方法がオススメです。
要は他者の熟考顔に対する処方箋として、「足踏み」するということです。
説明や議論の進行中に、目の前の相手の眉が下がったら、相手は話を理解しきれていないと考え、話の進行をストップさせることが大切です。
これは、今回のケースのようなプレゼンの場だけでなく、人に何かを説明するとき、例えば、セールス、交渉、部下指導のときや普段の何気ない会話でも応用できます。ちょっとした気遣いが出来るか否かが、コミュニケーションの帰結に大きな差となってくるのです。
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<文/清水建二>
執筆者プロフィール
清水建二(しみずけんじ)
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役
1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーション学を学ぶ。学際情報学修士。 日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Cording System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、日本ではまだ浸透していない微表情・表情の魅力、実用例を広めるべく企業コンサルタント、微表情商品開発、セミナー等の活動をしている。著書に『0.2秒 微表情を見抜く技術』飛鳥新社(2016年7月22日発売予定)がある。
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