“濡れ手で粟”で三菱自動車を手に入れた日産・ゴーンの豪腕――号外[闇株新聞]

消費増税の先送りが決定し、日経平均は急上昇。一方で、海外に目を向ければアメリカの利上げに大統領選、パナマ文書問題と注目材料が目白押し。’16年後半の日本経済への影響はどれほどのものか? 闇株新聞氏が重大ニュースを読み解く

燃費データ不正の三菱自を日産が「粉飾」を超えた完全な捏造

三菱自動車

燃費データ偽装問題を受けて三菱自動車は5月18日、相川哲郎社長と中尾龍吾副社長は6月24日の株主総会をもって引責辞任することを明らかにした

 オリンパス事件、東芝の不正会計問題に続いて、今年も新たな経済事件が明るみに出ました。三菱自動車の燃費データ改ざんです。スズキにも同様の不正が発覚しましたが、ここでは三菱自に絞って話をします。当初、不正の対象となったのは、’11年に三菱自と日産自動車が設立した合弁会社「NMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)」で開発された軽自動車「デイズ」「デイズルークス」を含む4車種とされました。しかし、日を追うごとに新たな問題が浮上。ついには、ほとんどの車種で不正が行われていたことが明らかになりました。燃費に影響するタイヤと路面の摩擦などの走行抵抗のデータに手を加えたほか、国が定める方法と異なる測定方法を採用し、最大で15%も燃費性能を水増ししていました。「eKワゴン」「eKスペース」に至っては、過去のデータを基に机上の計算だけで数値を弾き出していた。これは「粉飾」を超えた完全な捏造です。  当然、対象車種は販売停止。莫大な賠償・補償費用が発生することは必至で、自力再建は誰から見ても不可能でした。そんな火中の栗を拾ったのは、ご存じのとおり日産であり、実質的に同社の経営権を握るフランス政府とルノーとカルロス・ゴーンです。私は、燃費不正以上に、この日産による買収に大きな危機感を抱いています。
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三菱自とシャープに共通する偽装と買収
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◆経済事件は“つくられる”闇株新聞の新著が近日発売!

 '07年から'11年で各年度の連結純資産を416億~1178億円も不正に計上した巨額損失事件を覚えているだろうか?オリンパス事件だ。闇株新聞氏はいち早く同事件の関係者を取材し、記事を執筆。その記事は報道関係者はもとより、当局からも大いに注目を集めた。昨年は東芝の不正会計事件も発覚。このときも、上場廃止も免れないほど決算発表が遅れたにもかかわらず、関東財務局がたったの1時間程度で有価証券報告書の提出期限延長を認めたことなどを報じた。これらの経済事件の知られざる真実を明らかにする新著が、間もなく発刊予定。