“濡れ手で粟”で三菱自動車を手に入れた日産・ゴーンの豪腕――号外[闇株新聞]

三菱自とシャープに共通する偽装と買収

 ’99年に日産を傘下に入れたルノーが、どれだけ日産を食い物にしてきたか。ルノーはロシア最大の自動車メーカーであるアフトバスの買収や、モロッコのタンジール工場建設など、日産に何のメリットもない投資に日産の資金を利用しています。今回の三菱自の買収に際して、日産は議決権の34%を確保するために2373億円を出資することを明らかにしていますが、これも日産ないしはルノーで行うべき設備投資の資金を三菱自に払い込むだけと考えるべき。その出資金で三菱自に設備投資をさせれば、新たな資金負担なしに三菱自の株式が資産として加わるからです。まさに濡れ手で粟。  この構図は、シャープと酷似しています。シャープは’12年から’16年までの5年間で1兆3880億円というとてつもない累計赤字を計上しています。債務超過に陥ることが明らかになり、今年2月に台湾の鴻海精密工業に対して総額4890億円の第三者割当増資と優先株の発行で議決権の66%を売り渡すことが“決まりかけ”ました。しかし、直前になって3500億円規模の「偶発債務」があることを打ち明けます。言葉を濁していますが、実質的な“隠れ債務”であり、不正会計が紛れ込んでいると考えられます。だからこそ、鴻海の郭会長は粉飾決算となる部分を最大1000億円と見積もり、予定していた資本注入を1000億円減額したわけです。  こうなると、シャープはなすすべなし。まだ1円も受け取っていないのにもかかわらず、6月の定時株主総会で選任される9人の取締役のうち、社長を含む6人が鴻海から送り込まれることが決定しました。当初、郭会長は「リストラはしない」と言っていたにもかかわらず、3000人規模の人員整理を行う方針です。鴻海の払込価格1株=88円に対して、直近のシャープの株価は150円前後ですから、巨額の含み益が発生するのも明らか。鴻海は事実上リスクゼロでシャープとその資産を手中に収めたのです。  日本で培われた資産が、このように次々とタダ同然で海外に売り飛ばされていいのか。今一度、考えるべきです。 【闇株新聞】 ’10年に創刊。大手証券で企業再生などに携わった経験を生かして記事をアップし続けるWebメディア。金融関係者などか注目を集める ― 号外[闇株新聞]2016年日本経済の後半を読み解く重大ニュース ―
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◆経済事件は“つくられる”闇株新聞の新著が近日発売!

 '07年から'11年で各年度の連結純資産を416億~1178億円も不正に計上した巨額損失事件を覚えているだろうか?オリンパス事件だ。闇株新聞氏はいち早く同事件の関係者を取材し、記事を執筆。その記事は報道関係者はもとより、当局からも大いに注目を集めた。昨年は東芝の不正会計事件も発覚。このときも、上場廃止も免れないほど決算発表が遅れたにもかかわらず、関東財務局がたったの1時間程度で有価証券報告書の提出期限延長を認めたことなどを報じた。これらの経済事件の知られざる真実を明らかにする新著が、間もなく発刊予定。