楽天は進出当初、テレビ宣伝などを行なって知名度を高めることに努めた。しかし、楽天の知名度は消費人口の僅か6%までにしか浸透していなかったということであった。(参照:「
Cinco Dias」)
スペインの人口は4600万人。アマゾンは2011年にスペインに進出して、既に〈1460万人がアマゾンで買いものをしている〉にも関わらず、である。(参照「
El Pais」)
すでに認知度が高いアマゾンに対抗して成長して行くには、かかるコストが成長度合に比べ相当に高くなる。それゆえ撤退を決めたといえる。しかも、自社のロジスティクスセンターを持っていないことも、効率を競っての薄利商売では不利になる。
一方のアマゾンはスペイン進出6年目になるが、急激な成長を象徴するかのように既に800人の従業員を抱え、マドリード州のサン・フェルナンド・デ・エナレス市に〈3万2000平方mのロジスティクスセンターを構え、それを現在7万5000平方mに拡張している〉。
当初(2012年)に〈2万8000平方mで従業員40人からスタートした〉ロジスティクスセンターである。このロジスティクスセンターの拡張の推移を見るだけでもアマゾンの著しい成長を知ることが出来る。更に、ソフトウエアー部門の開発としてマドリード市内に〈1700平方mの開発センターを今年3月に開設〉している。
バルセロナに30人の従業員を抱えているだけの楽天とは雲泥の差である。
スペインだけに限って言えば、象の前に犬が挑戦して行くようなもので、最初から勝敗は決まっていた。楽天はアマゾンと真っ向から対決するのではなく、スペインでの販売では商品を狭くセグメントして一点に集中しての販売を展開して行くべきだったかもしれない。