なぜヘッドフォン型なのか?――新ランニング用デバイスの開発意図を聞いてみた

 ランニングブームの立役者である東京マラソンは、今年で11回目の開催となった。健康志向の高まりから、ランニング人口も約1000万人にまで増えた。レース向けの本格的なトレーニングを積むランナーにストレス解消目的の愛好者と、そのすそ野は広い。  こうしたランナーを支えるのが、ウエアラブルデバイスだ。距離やペース、ラップタイムなどを確認しながら距離を重ね、走行時の記録を管理する。「いままで見えなかった数字が可視化されるのも楽しい」(41歳・男)など、もはやランニングの楽しみの一部にもなっているようだ。  現在、ウエアラブルデバイスの主流は腕時計タイプのものだ。GPS機能が盛り込まれていて、操作性や数字の視認性にも優れている。しかし昨年ソニーからヘッドフォン型の『スマートスポーツギア Smart B-Trainer』が発売された。ウォッチ型全盛のなか、なぜヘッドフォン型なのか。プロダクト・ビジネスプランナーのソニー新規事業プラットフォームSE事業室 小池中人氏に聞いた。

スマートスポーツギア Smart B-Trainer

「ランニングの成否は、継続できるかどうかにかかっています。その一方で、意志の力だけで継続するのもまた難しい。継続には支えが必要であり、音楽はその支えになり得ます。Smart B-Trainerは機能としてはGPSと心拍センサーが内蔵された、ヘッドフォン型のワイヤレス音楽プレーヤーですが、用途としては音声と音楽でランニングをガイド・ナビゲートするスポーツギアです  ランニング愛好家へのアンケート調査でも「走りながら音楽を聴く」という回答が多い。実際、音楽はランニング時に必要な「リズムの同調」にも役立つという。 「ランニング中、左右の足の着地の運動リズムと・心拍のリズムのリズムは、相互に作用しています。これらのリズムを音楽でナビゲートすることで『もっと効率的に脂肪を燃焼させたい』など、目的に応じた効率のよい走りができるようになります」
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