「イオンフードスタイルストア」に改装された店舗(ダイエー赤羽店)
実は、ダイエー碑文谷店の建物(トーヨーショッピングセンタービル)の総合スーパーとしての歴史はここで終わる訳ではない。ダイエー碑文谷店跡の建物は、ダイエーを傘下に収めているイオンが賃借することが決まっているからだ。
ダイエー碑文谷店の建物を保有する「ユナイテッド・アーバン投資法人」によると、ダイエー碑文谷店の建物はこれから約半年間に亘る大規模な改修工事に入り、内外装などを一新したのち、改修が終了する今冬ごろから建物全体をイオンが賃借することになっているという。契約期間は2036年までで、新業態の総合スーパー「イオンスタイルストア碑文谷店」を核としたショッピングセンターになるとみられている。
なお、ダイエー閉店後も別館(ABC-MARTなど入居)は営業を続けながら改装を行なう。
ダイエー跡に出店するイオンも、総合スーパー事業が好調とは言えない。
イオンが4月13日に発表した2016年2月期の連結決算では、営業収益は過去最高の8兆1767億円(前期比16パーセント増)となったものの、純利益は僅か60億円(同86パーセント減)にとどまった。これは、衣料品販売の不振による総合スーパー部門の営業利益の落ち込み(同19パーセント減)が大きな要因となっている。
これらの総合スーパーの不振を打破するためにイオングループが2014年から取り組んでいるのが、従来型店舗の「イオンスタイルストア」「イオンフードスタイルストア」への転換だ。
かつての総合スーパーは、全国的どこでもほぼ画一化された売場を導入することが成長への1つの鍵となっていたが、多くのイオンスタイルストアでは、既存の売場を地域の実情に合わせた形で大きく変化させている。
例えば、東京都心に近いイオンスタイルの中型店舗では、食品売場を大幅に拡大し、仕事帰りに気軽に立ち寄れるワインバーやイートインを導入。また、以前はフルラインでの販売であった衣料品売場は「アクセスのいい都心や、郊外の更に大きい商業施設に任せればよい」として取り扱い品目を絞り込んだ。
そのほか、京都のイオンスタイル新店舗では「おばんざい売場」を導入、3世代同居が多い地方のイオンスタイルでは「地域最大のこども用品売場」を導入し、祖父母と孫での来店を喚起した店づくりを行うなど、地域ごとの店づくりを行うことで、従来は大手スーパーにあまり足を運ばなかった層の来店や、店舗滞在時間の増加に努めている。
ダイエー碑文谷店に出店する「イオンスタイルストア碑文谷」も、東京都心に近く、また比較的所得が高い地域に立地する店舗という特徴があるため、食品売場を中心にダイエー時代とは大きく変化した売場となることが予想される。