プレゼン下手は要注意!「それでは次のページです」という言葉がまずいワケ

「間」をつくり、ブリッジをかけると流れができる

 そのために、合いの手を入れないロープレを実施してもらったわけだが、単調な合いの手を入れるのだったら、無言の方が、聞き手の集中力を削いだり、関心度合いを低下させたりすることを防ぐことができるからなのだ。無言で頁を繰るということは、その間、話と話の合間に「間(ま)」ができる。その「間」の時間で、聞き手は、自分自身で「今の話はこういうことだな」と反芻したり、「次は何の話だろうか」と思いめぐらすことができるのだ。真面目で優しい人ほど、「間」のないプレゼンテーションにより、聞き手自身に考えさせる余裕を与えない結果となってしまうことになってしまう本末転倒な事例である。 「間」をつくることができるようになると、次の段階は、ブリッジのスキルを身に付けることが効果的だ。ブリッジのスキルとは、今説明した頁と、これから説明する頁との間に、両者を橋渡しする、橋(ブリッジ)をかけるフレーズを盛り込むことだ。これにより、プレゼンテーションの流れに弾みがつき、聞き手の集中力や関心度の低下を極小化できる。 「ただいま、○○についてご紹介しました。それでは、具体例を挙げますと……」とか、「○○の利点は以上です。逆に、欠点をお話ししますと……」などがブリッジのフレーズだ。ポイントは、ブリッジのフレーズを入れるタイミングで、頁をめくる前に入れることが効果的だ。話し手が「次の頁です」と言わずに押し付け感を与えず、そのかわり、次の頁を期待させる内容のフレーズを話すことで、聞き手が自分で頁をめくりたくなる。聞き手の集中度や関心度を高めることができ、流れに弾みをつけることができる。 「なんだ、こんな簡単なことか」と思った方が多いに違いない。そうなのだ。このような簡単なことを身に付けて実践できさえすれば、プレゼンテーションの訴求力が格段に高まる。自分のプレゼンテーションに聞き手が関心を持ってくれないのは、聞き手が悪いからなので、「しっかり聞いてください」、「内職はしないでください」、「PCはしまってください」などとあらかじめ言わなければならないと思っていたら、それは間違いだ。そのようなことはひと言も言わずに、間をつくることと、ブリッジをかけることで、聞き手を引き付けることができるのだ。<文/山口 博> <文/山口博 写真/kou/PIXTA> ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身。
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