「ちょっといいですか」が口癖のビジネスマンは大成しない!

「ちょっといいですか」症候群は改善できる

 実は、この「ちょっといいですか」症候群は、あるスキルを、わずか1分間、セルフトレーニングするだけで、改善することができる。そして、その結果、部下や上司や顧客から疎まれることなく、「ああ、いつも話がわかりやすいな」、「常に相手のことに配慮してくれる人だな」、「さすが訓練された人は違うな」、「一段、レベルが上のビジネスパーソンだな」という印象を持たれることになり、登用のスピードも速まっていくのだ。トヨタグループ&関連企業の役員・管理職向けに能力開発プログラムを実施しているが、このスキルが高い人が多い。  そのスキルとは、「BIGPR」のスキルである。BIGPRとは、B=Background(背景)、I=Introduction(自己紹介)、G=Goal(目的)、P=Period(時間配分)、R=Role(相手に期待する役割)をひと言で伝えることだ。例をあげると次のようになる。お互い知った仲であれば自己紹介は略すことも多い。 「昨日の部内会議の結果を受けて準備をしましたので(背景)、まずは明日の経営会議資料について確認いただきたく(目的)、10分間、時間をいただけませんか(時間配分)。修正点のご意見をいただければ幸いです(相手に期待する役割)」となる。あえて、各要素を分解して、丁寧な例にしたが、日常的には、「昨日の会議をふまえて(背景)、明日の資料を確認いただきたく(目的)、10分(時間配分)助言をいただけませんか(相手に期待する役割)」となる。  これを、「ちょっといいですか」を言うかわりに、あるいは、「ちょっといいですか」と言って、何の用だと言われる前に、相手に伝えることがとても重要だ。聞き手にとっては、この背景と目的で、この時間が必要で、自分にこうしてほしいのだなということが、クリアになり、「よし話を聞こう」という気持ちが格段に高まる。自分の話を周りの人々があまり聞いてくれないという状況は、実は自分の話法ひとつで、劇的に改善できるのだ。加えて、このBIGPR、上司や部下、顧客との1対1の対話でも有効であるし、電話でも、1対多数のコミュニケーションの場面でも効力を発揮する、実にパワフルなスキルなのだ。 <文/山口 博> ※「PIGPRのスキル」は、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル7で、セルフトレーニングできます。 ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身。
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【お知らせ】
この記事で紹介したスキルは、5月12日に山口博氏により開催される次の実演セミナーで修得することができます。奮ってご参加ください。

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