「着物には季節によって着る色が違ったり、着慣れていなくて動きづらかったりして、敷居が高いものというイメージがどうしてもあります。でも女のコからすると着物はやっぱりカワイイ。もっと身近なファッションとして取り入れたい。それができたのは、原宿ならではだと思います。着物が初めての人でも、15~20分で着替えられるほか、動きやすいように帯や小物を作り変えました。着物姿でのおでかけをもっと楽しんでもらうため、スニーカーやブーツのままでの着物スタイルもあります」(前林氏)
体験に来る人の約7割が外国人観光客で、最も多いのは香港出身者。次いで台湾、タイ、近頃はムスリム観光客も増えているそうだ。
kawaii着こなしを提案している
この着物着付け体験は、着物代込み(体験終了後持ち帰り可能)で、2時間7000円(税抜)。帯や小物、足袋などはお店でレンタルするほか購入もできるため、着付け体験をした訪日客の約半数が、着付け用品を買って帰るという。
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主にアジア圏からの需要が集まっているレンタル着物の着付け体験だが、体験者の多くは日本に来るのは初めてではない。着物についての知識も持っている。新しいスタイルの着物を体験したい人たちは、まず浅草や京都で伝統的なスタイルに触れたうえで、原宿スタイルを体験しに来るのである。だからこそ、着物文化を誤って解釈されるといった心配やトラブルは1度も起こっていない。
こうした体験の機会は、インバウンド需要に訴求し、商業的なメリットがあるだけではない。「トウキョウカワイイミュゼ」に着物レンタルに訪れる人々の多くが、初詣をはじめとした年間行事や季節のイベントにあわせて予約を入れるという。日本の文化とファッションを同時に楽しむ、非日常感。その“体験”を売っていることこそ今後のインバウンド戦略を考える上で重要な要素となるのは間違いないだろう。
<取材・文/上原純(OfficeTi) 写真提供/
トウキョウカワイイミュゼ>