「一流のクラシック音楽を低価格で」。フランス発のクラシック音楽の祭典でGWは癒やされる

毎年変わるテーマ、今年は「自然と音楽」

 ラ・フォル・ジュルネのテーマは毎年変わる。フランス・ナントでの1995年の第1回開催のテーマは、モーツァルト。日本で第1回が開催された2005年のテーマは、ベートーヴェンと仲間たちであった。  今回のテーマは「la nature ナチュール – 自然と音楽」である。プログラムはルネサンスから現代まで500年にわたる音楽史の中から、季節、風景、動物、天体、自然現象など、さまざまな切り口から選曲される。すなわち、自然と音楽のかかわりは、ルネサンスやバロック時代における鳥のさえずりなどの描写的な表現からはじまり、その後ヴィヴァルディの「四季」に代表されるように音楽的な深みを増しながら、自然は音楽家に絶えずインスピレーションを与え続けていることにフォーカスを当てるのが今回のテーマである。

聴きどころは?

 各々好きな音楽を聴いてもらうのがいいのであって、筆者が聴きどころを記すのは正直おこがましいのであるが、あえて記すとすれば、テーマ「la nature ナチュール – 自然と音楽」の「ど真ん中」の曲を聴くのがいいのではないかと考える。 「自然と音楽」の「ど真ん中」の一例は、四季の移ろいではないだろうか。ヴィヴァルディの「四季」は、「ど真ん中」であろう。他にも「四季」を聴ける。フランス・バロックの作曲家シャルパンティエのモテット「四季」、ロシア人チャイコフスキーのピアノ曲「四季」、グラズノフのバレエ音楽「四季」、ピアソラによる「ブエノスアイレスの四季」、グラスの「ヴァイオリン協奏曲第2番『アメリカの四季』」など、ラ・フォル・ジュルネでは「ど真ん中」の「四季」を複数チョイスできるプログラムが用意されている。  他にも、「自然万物」(天地創造から惑星まで!)、「風景」(田園からグランド・キャニオンまで!)、「動物」(ライオンから北極圏の鳥まで!)などに関係する「自然と音楽」のプログラムがある。和太鼓から怒濤のアフリカン・ビートも聴ける。  また、2016年に没後20年を迎える武満徹をはじめ、日本の作曲家による素晴らしい作品も取り上げられる。

ゴールデンウィーク期間中の東京の風物詩へ

 「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」は、ゴールデンウィーク期間中の東京の風物詩となりつつある。地方から上京し、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンを楽しむ人たちもいる。首都圏在住で、国内・海外旅行の予定をまだ立てておられない方々は、東京国際フォーラムで、クラシック音楽を楽しんでみるのは、いかがだろうか。 <文/丹羽唯一朗>
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