一方、政府も及び腰である。あたかも普天間基地の自然消滅を図るかのように、2013年11月の沖縄県知事選挙で、菅義偉官房長官が仲井眞弘多県知事(当時)の続投を願うあまり、「5年以内に普天間基地を閉鎖する」と宣言し、またオスプレイの佐賀空港への移転を工作した。
このような、米国との事前協議もなく選挙のためにポピュリズムに奔る日本政府に対し、米国政府は激怒した。「沖縄を放棄するつもりか!」とまで抗議しているのだ。
そもそも普天間基地は、国連軍の指定基地である。
国民はその重要度を認識していないが、1950年に勃発した朝鮮戦争は未だ終戦を迎えていない。北朝鮮と韓国は、現在は休戦状態にあるだけだ。国内に7か所ある国連軍の指定基地は、朝鮮有事の際、我が国政府と事前協議なく半島に出撃できるし、核兵器の搬入もできる。
しかも普天間基地に展開するオスプレイは、強襲揚陸艦に搭載され、中国が侵出している南シナ海方面を常時パトロールしているのである。
ましてや普天間返還合意は国際条約であり、国内法に優先される。地方分権も、国家あって成り立つものである。にもかかわらず、司法が沖縄県と日本政府に和解を勧告し、移設工事を中断させるなど、国際基準では滑稽な話が続いている。
平和ボケの日本政府と司法はここらでそろそろ目醒めるべきではないか、と筆者は考えるのである。
【惠隆之介(めぐみりゅうのすけ)】
ジャーナリスト。1954年沖縄コザ市生まれ。防衛大学校管理学専攻コース卒。海上自衛隊幹部候補生学校、世界一周遠洋航海を経て護衛艦隊勤務。退官(二等海尉)後、琉球銀行勤務。米国務省プログラムにて米国で国際金融等研修。
著書に『
海の武士道DVD BOOK』『
沖縄が中国になる日』(以上、育鵬社)、『
沖縄よ、甘えるな!』(WAC)、『
いま沖縄で起きている大変なこと』(PHP研究所)等。