南スーダンの難民キャンプ内のJVCが支援する幼稚園で学ぶ子どもたち
2011年に南スーダンの隣国、スーダンの南コルドファン州でJVCの事務所が襲撃された。そのとき、日本人のスタッフが事務所に取り残されていた。
「夜間10人あまりの武装集団が事務所に押し入りスタッフを拘束し、事務所の金品を略奪したのです。兵士は夜明け前に去っていきましたが、その間JVCが紛争下で取り残されたと知っていたはずの各国PKO部隊が救援に来ることはありませんでした。救出に来てくれたのは国連の非武装民生支援機関でした。
PKO部隊は、内戦下で部隊を派遣すれば武器を用いることになり、一度武器を使用すれば内戦の当事者になってしまう。2013年の暮れに起こった南スーダンの内戦の時もPKOとして自衛隊をはじめ複数の国の部隊が派遣されていました。しかし、いずれの国のPKO部隊も、内戦に巻き込まれた自国人を救出するということはありませんでした。一度介入すれば、紛争の当事者国になることがわかっていたからです」
駆け付け警護が行われれば日本が紛争当事者になり、戦争に引きずり込まれることは明白だと谷山代表は語る。
「日本政府はその程度の紛争地の現実をすらわかっていないように思えます。もし、日本が現地の紛争に巻き込まれれば日本の支援関係者も攻撃の明確なターゲットにされ、我々NGOの職員は『警護』されるどころか、危険にさらされるだけです。いったい誰のための『警護』なのか、非常に疑問に思います」
<取材・文/白川愚童>