接客用AIロボットは人間を超えるのか?――国内企業500社が導入済み

パリのロボットと東京のロボットが情報を共有

 顧客との距離を縮めるには、相手に警戒心を抱かせることのないデザインも重要だ。「不気味の谷」という概念がある。ロボットを人間に似せていくと、そのリアルさに不気味な感覚を感じてくる境界があるのだ。開発側もその点に注意を払ったという。言われてみれば、シンプルな球体に感情を表す目。全体的なデザインもある意味、没個性とでも言うべきものになっている。AIロボットに求められるのは、「嫌われない」ことだ。マーケティングデータを収集するという行為自体にアレルギーを示すユーザーも存在する。 「パリにいるPepperも東京にいるPepperも、ネットでつながっています。データを活かせば、フランスから訪日したお客様に対して、昔なじみのように話をすることもできます。ただし、相手にとって東京のPepperはあくまで初対面のはず。なのに、個人情報を知られている前提でコミュニケーションをとると気分を害してしまう可能性もあります」(蓮実氏)  人が対面で行うコミュニケーションは、高度なバランス感覚が備わってこそできるもの。適切な情報量で会話を行う、“人らしさ”を感じるAIロボットの研究開発が進んでいる。  2016年3月24日には、東京・表参道に期間限定でPepperだけが接客する携帯ショップ「Pepperだらけの携帯ショップ」がオープンした(30日まで)。Pepperに囲まれる店舗で、人とAIロボットが共働する未来は見られるのだろうか。<取材・分/石水典子>
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