白物家電関連メーカーでは、富士通ゼネラルが空調を主体に、国内での消費増税後の駆け込み需要の反動減を海外市場で補てんして増収に繋げた。また、象印ファクトリー・ジャパンは、内需に加え、中国人観光客向け高級炊飯ジャーが堅調で増収となった。
また、今回の調査では対象外だが、主な大手家電メーカーでは白物家電を含むセグメント別の売上高(2015年4月~12月)が三菱電機を除き、減収となったという。
この背景となったのは、三菱電機は国内外の空調機器、冷蔵庫が好調だった一方で、白物家電事業の売却が報じられた東芝、経営再建中のシャープは大幅に落ち込んだこと、パナソニックが2月3日に2016年3月期連結通期業績予想で中国でのエアコン事業の落ち込みなどから売上高を下方修正したことなどが要因として挙げられている。
家電大手メーカーは、国内消費動向の変化、中国の景気減速などが白物家電の業績下押しにつながっているようだと分析している。
同リポートでは、不況や低価格製品との競争で苦境に立たされる家電メーカーだが、円安の中で独自企業を活かしたり、商品開発力を武器に業績を改善している中小メーカーがあることがわかったと報告している。
しかし、その一方で、人口減による市場縮小や新興国のメーカー各社のデザイン力・技術力が、国内メーカーにとって大きな脅威となっているとしている。
機動力を活かして戦う中小の国内家電メーカーには活路は見出すことも可能だが、大手メーカーは高コスト体質などの課題を抱えており、白物家電メーカーにとっては正念場となるだろうとしている。
※白物家電関連は、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、扇風機、エアコンなどに限定。主業種が 1.「その他の民生用電気機械器具製造業」、2.「衣料衛生関連機器製造業」、3.「ちゅう房機器製造業」、4.「空調・住宅関連機器製造業」の4業種とした。
※白物家電および白物家電の完成品に近いメーカーをTSR企業データベース398万社から抽出し、3期連続で業績比較が可能な39社を対象に分析した。主業種で抽出しており、東芝やシャープなど大手電機メーカーは含まない。
参照:
東京商工リサーチ
<文/HBO取材班>